先日、甲子園の県予選決勝(超激戦区の超強豪校対決)で物議を醸すシーンがありました。
セカンドゴロが4-6-3と転送された際に、ショートがセカンドベースを踏まなかったという判定。
結果的に、この直後に攻撃側が逆転して勝敗が決したことで、野次馬は盛り上がったようです。
「誤審」などと言われていますが、私は逆に、これは塁審の英断だと思っています。
映像を見ましたが、「ベースに触れたか、触れてないか」で言えば、触れていないでしょう。
二塁ベースを右から左に高速で掠めた右足の軌道が、途中で全くずれていません。
ベースに触れたなら、その瞬間に軌道や速度に何らかの変化が出る筈です。
ただし、「物理的に触れたか触れてないか」は本質的な問題ではありません。
高レベルの野球界で蔓延している”かっこをつけた一種の怠慢プレイ”だと思うのですが、
「実際はベースに触れていなくてもアウトでいい」という暗黙の了解があるのです。
他には、「ファーストが内野ゴロの送球を捕球するより前にベースから足を離す」というのも同様。
今回のプレイは偶発的なものではなく、普段からそのように練習しています。
従って、ベースに触れたかどうかではなく、
この気取った怠慢プレイを高校野球で容認するかどうかが眼目なのです。
かなり勇気が必要だったと思いますが、塁審の方は明確に「否」とした訳で、私はこれを英断と評価します。
捕手の技術(?)の一つに、「フレーミング」があります。
ストライクゾーンをぎりぎり外れた投球について、
捕球する際のミット捌きで(球審に対して)あたかもストライクかのように見せるというもの。
レベルの高い捕手の高度な技術とされていますが、
ここから言えるのは、野球は「審判にどう見えるか」が全てだということ。
実際にはボールであろうと、球審に対してストライクに見せればストライク。
実際にはベースに触れていようと、塁審には触れていないように見えればセーフ。
フレーミングをしてまで、審判の判定を有利に引き寄せたがっているというのに、
わざわざベースに触れていないように見せるのが賢明でないのは明らかでしょう。
当の選手は、これを糧として反省できるでしょうか。
この怠慢プレイを指導した責任のある監督の試合後コメントは、
「絶対にベースに触っている」と言うピント外れの主張でしたが、
時間が経って落ち着いた後には、考えを改めていることを望みます。