年末になると、個人投資家の方のブログに「損出し」という文字が目立ち始めます。
言わずと知れたことですが、
含み損銘柄をいったん損切りし、直後に改めて買い直すことで、ポートフォリオ上の含み損が無くなり、
かつ、損切り分の金額をそれまでの売却益や配当益にぶつけて相殺できるので、税金が返ってくるというものです。
こう書くといいことばかりなので、あおぞら銀行 (8304)で適用してみようと思い、
先日実際に損切り注文を出してみたのですが、
それが約定するのを待っている間、どこかに出ている筈の負の数字は何なのかと考えていました。
ほぼ同じ株価で売って買い戻しているので、往復の手数料を除けば、買付余力は減少していません。
なので、損切り金額を配当益(そっくり買付余力に含まれている)と相殺したとはいえ、
配当益そのものは毀損していないように見えます。
それどころか、あおぞら銀行の買付価格が下がっているので、
元々は含み損どっぷりだった株価水準であっても、まさかの含み益状態になってしまいます。
こんなにいいことばかりの筈はありません。
どこかにしわ寄せがいっている筈です。
と、しばらく考えてようやくわかりました。
買付価格が下がったということは、その分だけ、あおぞら銀行に投じた初期資金が目減りしているのです。
損出しが成立すれば、買付株価が300円ちょっと下がりますが、
それはつまり、300円 x 1,000株 = 30万円分だけ、初期投資資金が減少していることになります。
この30万円という金額は、正確には損切りをぶつけられた配当益の目減り額と考えるべきなので、
損出しの意味としては、配当益(売却益)を費やして含み損を相殺し、その金額の2割弱の税金が返ってくるということでしょうか。
節税という厳然たるメリットはあるのですが、
配当益は配当益でキープしておきたいですし、かといって初期投資金額が目減りするのも気持ちが悪いので、
損出し注文はキャンセルしてしまいました。