個人的には、これは横綱の価値も権威も大暴落の大安売りだと思います。
千秋楽の日のニュースの見出しに「稀勢の里……横綱……」という文字を見て、
「来場所が綱取りということか。初優勝したばかりなのに早計だな。」
と思ったのですが、あろうことか今場所で即昇進とは絶句です。
二場所連続優勝という基準すら甘いと思っているのに、そのハードルをさらに下げるとは。
まさにドン引きで、失笑を禁じ得ません。
もう横綱という地位を形だけ別格扱いするのはやめたらどうでしょう。
太刀持ちと露払いを従えたうやうやしい土俵入りなどはやめて、
幕内土俵入りの際には、大関の後のしんがりで綱を締めた状態で入って来ればいいと思います。
大関のすぐ上の地位、ただそれだけと。
稀勢の里関は昨年の年間最多勝だそうですが、なんと69勝(21敗)です。
場所平均3.5敗も喫する横綱ですか。
価格の低下を防ぐために、獲れすぎた野菜を廃棄してしまうのはどうかと思いますが、
現状は、未熟な横綱をあまりにもホイホイと出荷しすぎです。
百歩譲って入り口を広くするなら、出口も広くしないとバランスが悪いでしょう。
これで横綱は4人。これをインフレと呼ばずに何と呼べばよいのでしょうか。
単なる数の過多よりも、貨幣そのものの品質低下の方が、このインフレの原因としては深刻です。
江戸時代の小判ではないですが、薄~い金メッキがはってあるだけなので、
おまんじゅうの下にびっしりと敷き詰められていたとしても、
悪代官様はニヤリと笑って「越後屋、お主も……」とは言ってくれないでしょう。
薄いメッキながらも、一応全面が覆われているのならばまだましですが、
今回に至っては、最初からメッキがひらひらとめくれ上がってしまっていて、
地金がばっちり見えてしまってはいないでしょうか。
出口を広くする規定として、
直近6場所の勝ち星が75勝未満になったら即引退、
横綱が1-2人の状態なら連続2場所、
それ以上の横綱がいる場合は、その横綱の人数と同じ場所数だけ、連続で優勝を逃したら即引退、
金星を挙げた力士に支給する報奨金は、金星を喫した横綱の給料から差し引いて捻出する、
等を導入しては?
横綱になること、横綱であることに対して、もっと絶対的な名誉と価値を付与していくべきです。
横綱審議委員会に推挙されても、謙虚に辞退する力士が出るくらい、
すさまじく重みのある地位にして欲しいと思います。