ここ何年も第5局で決着してきた竜王戦が、今年はフルセットにもつれ込むというのも皮肉な話です。
年齢的な背景もあり、現段階での地棋力は竜王>挑戦者という図式で異論はないと思いますが、
これまでの経緯によって、精神的な作用が竜王にはマイナス、挑戦者にはプラスに働いているようです。
渡辺竜王の場合、そのマイナス作用は身から出た錆であって、自業自得としか言いようがありません。
丸山九段の方は、多くの将棋ファンが抱いている思いを盤上で代弁することで、
力を最大限に発揮されているように思えます。
竜王戦がどのような結末を迎えるにせよ、私の渡辺竜王に対する感情が以前のものに戻るには、
渡辺竜王が非を認めて謝罪するよりほかはありません。
渡辺竜王の行動は悪意から出たのではなく、自分の信念に従った純粋なものだったとは思います。
しかし、結果的にはその行動が事態を最悪の方向へ向かわせてしまったのですから、
その過失は認めて反省すべきです。
仮にそうしたとしても、事態が後戻りできないところまで進んでしまったという状況は変わりません。
ただ、私の将棋界に対するわだかまりは大きく解消される筈ですし、
同じ考えの将棋ファンは少なくないのではないかと想像します。
本棚に鎮座している2冊の「将棋の渡辺くん」。
再び私の手にとって開かれる日が来るのか、その前にブックオフに持っていかれるのか。
渡辺竜王の胸三寸に懸かっています。