昨日の続きですが、これも最近のNHKの再放送番組で、かなりお粗末な構成をしているものがありました。
責任者は懲罰ものだと思います。
私は古代エジプト文明にも興味がありますが、
問題の番組は、8年前に放送された「呪われたツタンカーメンと王妃」です。
放送当時、発見されて間もなかったKV-63について、
ツタンカーメンの妻であるアンケセナーメンのものであるという主張(仮説)で番組が作られていますが、
この仮説に対する執着がひどく、極めて偏った編集になっているのです。
現在では、このKV-63は墓ではなくて物置きだという説が有力になっているようですが、
8年前はそこまで議論が進んでいなかったのかもしれませんから、
「墓かもしれない」という希望的立場に立って番組を制作するのは構わないと思います。
しかし、物証は中立的に紹介すべきであって、
制作側に意図に沿った印象を視聴者に与えるべく偏った編集をするのは、極めて不適切です。
私が気になったのは、以下の2点です。
一つ目は、KV-63にあった棺の中にミイラがあるかどうかを調べていたシーン。
内視鏡越しに見えたものについて、研究者が「鼻に間違いない(吹き替え)」と興奮気味に話していました。
結局これは見間違いで、中にはミイラは入っていなかったことが後に判明します。
問題なのは、このシーンを番組冒頭にも挿入して、まるでミイラが見つかったかのような導入にしていたことです。
結果的には間違っていた情報が、あたかも真実だったかのように強調されたオープニング映像は如何かと。
もう一つはエンディングで、
放送直前になって、KV-63の棺からアンケセナーメン以外の人物の名前が発見されたことが紹介されます。
問題はその後に続く言い訳で、「他人の棺が使用されることもあるので……」というような文言が流れました。
それを言ってしまっては、もはや考古学が成り立たないでしょう。
大ピラミッドにしても、ピラミッド内の石に書かれた「クフ」という文字が、その主の根拠とされていたと思います。
「KV-63がアンケセナーメンの墓である」という仮説ありきの、非常に歪な番組でした。
検索してみると、8年前の放送当時にこの番組を批評している人もいました。
そのブログによると、他にもいろいろと不正確な情報や言い回しがあったようです。
私は、比較的好んでNHKの番組を視聴していますので、アンチではありませんが、
高い受信料を払っているのですから、それに見合った質の番組を制作していただきたいです。