以前にNHKで放送されたチンギス・ハーンの発掘調査の番組を再放送しないかなと思っていた矢先、
信じられないようなタイミングで先日再放送されました。
3年前の本放送も視聴してはいたのですが、当時はチンギス・ハーンにとりわけ興味があった訳ではなく、
歴史ものの一つとして何となく観てみただけでした。
今回改めて観てみると、3年前にはさほど気に留めなかったモンゴルの草原やゲルの様子、
羊肉料理などについても興味津々で、全体としては満足な番組でした。
一方で、この手の番組に関しては、前々から大きな不満が二つあります。
一つは、気取った肩書きをつけた芸能人を出演させること。
しかつめらしくコメントをするのが常ですが、こちらはそんなものには興味がありません。
現地で取材した映像をナレーションと共に流せば事足りるのに、無関係な芸能人の出演は全く蛇足です。
本当にその分野に興味を持っていて、ある程度造詣の深い芸能人ならば許容できるかもしれませんが、
これまでにそんな人選は見たことがありません。
そのコメントや質問の薄さに苛立ちつつ苦笑し、録画なら早送りするのみ。
今回の番組の出演者はまだ「まし」な方でしたが、それでもほとんどは邪魔くさい映像でした。
なんと発掘作業の手伝い(というより邪魔)までしていましたが、
研究支援(取材費)という見返りがあることを差し引いても、
わざわざ時間を割いて部外者の相手をするのは、研究者には相当なストレスです。
もう一つの不満は、番組としての情報の伝え方です。
通販番組では、しつこいほどに「個人の感想であり、効果を表すものではありません」と表示されますが、
この種の但し書きは、考古学も含めた学術的な番組でこそ明示されるべきものです。
特に考古学の場合は、発掘した物証から研究者が導き出す「仮説」には大きな幅があるのが常。
出演している研究者が提唱している仮説について、
あたかもそれが真実であるかのように断定したナレーションをするのは極めて不適切です。
あたかも真実であるかのように、誤っている可能性のある、偏っている可能性のある情報を放送するのは、
放送倫理に抵触しているのではないでしょうか。