胃カメラについては、子供の頃から父の悶絶譚を聞かされていたのと、
自分でもえずき易いという自覚があるのとで、絶対に苦手だという確信がありました。
胃がんと診断されるために、苦痛の検査を受けねばならぬという、なんともやるせない状況です。
最悪なのは、えずきすぎて検査できないというケースですが、これもあり得るような気がしていました。
全身麻酔みたいに意識を薄めて検査する方法もあるようですが、
受診したクリニックでは、それは大腸の内視鏡検査にしか適用していないとのこと。
一方で、細めの内視鏡を鼻から入れる方法を選ぶことはできました。
ただし、鼻から入れることでえずきがどれほど軽減するのか想像できなかったのと、
鼻うがいができなかったり、ウィルス検査で棒を突っ込まれた際にかなりツーンとしたり、
鼻に関しても苦手意識があったので、心は安まらず……。
胃がんと診断されることへの覚悟はできていたものの、
胃カメラそのものに対してはびびりまくって当日を迎えました。
少し早めにクリニックに着いたのですが、その早めの時間のまま、
前倒しで案内されて、あれよあれよと前処置が始まります。
不味い液体を飲んだ後、寝た体勢を仰向き→右向き→うつ伏せ→左向きと変えて、胃全体に行き渡らせます。
その後、鼻腔を広げる薬、そして麻酔薬を続けて鼻の中へ。
あれよあれよという間に医師と内視鏡の登場です。
左の鼻の穴から挿入してもらったのですが、麻酔のおかげか、ツーンとすることはありませんでした。
この調子ならば、と少し希望が湧いてきたのですが、
内視鏡が喉を通過した瞬間、やはり強烈な異物感が襲い、3-4回立て続けにえずきました。
「これはやばい」と焦った時、看護士さんが「すぐに慣れますよ」と。
確かに、内視鏡が喉に当たっている状態が継続するとやがて慣れてきて、なんとその後は1度もえずきませんでした。
自分でモニターを見る余裕も生まれ、
「おっ、ここで写真を撮ってるけど、どこかに腫瘍が写っとるんか?」
「この気持ち悪いヒダヒダは、もしかしたらスキルス胃がん?」
「あっ、生理食塩水を放出した。胃にあたっても全然感じないな」
といった感じで進行して、多分10分もしないうちに終了しました。
その後、異常は無かった旨を説明されたのですが、あの違和感でそんな馬鹿なという感じです。
現状で異常が無いだけでなく、炎症が治った形跡も無く、更にはピロリ菌も住んでいなさそうな雰囲気だと。
腫瘍が無かったのは幸運でしたが、それならあの異物感の原因は一体何なのか?
物理的な原因が何もないのに、あの症状が出るというのは、ちょっと信じられません。
調べてみると、この症状はFunctional Dyspepsia (FD)というものに当てはまるようです。
内視鏡下では何の異常も認められないのに、胃炎様の症状が出るという定義だそう。
そこまでQOLを損なう違和感ではなくなってきているので、
引き続き、薬を飲んで様子を見ています。