杉本昌隆八段の新著「悔しがる力」を(図書館で借りて)読みました。
何故かビジネス書(あるいは啓発書)として売り出したい出版社の意向が感じられますが、
実際の内容は、見開き1ページごとに完結する単発エピソードをまとめた杉本八段のエッセイです。
杉本八段のエッセイはこれまでにも何冊か読んでいますが、
新しいエピソードもたくさん盛り込まれており、杉本一門ファンは満足できる内容です。
杉本八段の「面白く読ませる」文筆力は流石で、楽しみながら一気に読めるのですが、
全体の構成はやや散らかっている印象を受けました。
これに関しては出版社側が骨を折るべきところかと思いますが、
ビジネス書といった、エッセイとしてだけではない付加価値をつけて売り出したいのであれば、
杉本八段から受け取った材料をもっと練った構成で組み上げるべきかと。
さて、前作でも触れられた、学生時代に反発した担任教師とのエピソード。
本著ではその続きが記されています。
同窓会で再会した際に冗談交じりの皮肉をぶつけるなどして、
現在では、わだかまりの気持ちは残っていない様子。
このあたりは杉本八段の器を表しています。
このような人柄でなくては、いやしくも他人の「師匠」は務まらないでしょう。
私の学生時代にも、軽蔑している教師は何人もいましたが、
その評価は今でも不変ですし、ましてや旧交を温めたいなどという気持ちはさらさらありません(汗)。
私の器はその程度ということで……。