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三太夫の「おれのいうことは正しい」

「株式投資」「将棋」「野球」「動物」をこよなく愛する頑固なひねくれものの世迷言

「不屈の棋士」

「不屈の棋士(大川慎太郎 著)」という本を読みました。

 

日進月歩で棋力を上げ続けるコンピュータソフトについて、11人の将棋棋士にインタビューした内容です。

この11人には、羽生三冠と渡辺竜王を始めトップ棋士が多く含まれていますので、

その意見と考えるところは非常に興味深いものがありました。

 

概ねどの棋士も、コンピュータソフトの実力がプロ棋士を凌駕しつつある、

あるいはもう既に上回っているという点は認めています。

これからも時間と共に際限なく進化していくことになりますので、

この議論はほとんど決着していると言えそうです。

コンピュータは疲れませんし精神的な揺れもありませんので、人間が叶わないのは至極当然であり、

人間とコンピュータソフトとの対局が「異種格闘技戦」であるという例えは的を得ていると思います。

 

その上で、議論の中心となっていたのは次の2点です。

(1)研究の道具としてコンピュータソフトを使用することの功罪

(2)最強ではなくなってしまった棋士、あるいは人間将棋界の価値

 

まず(1)ですが、コンピュータソフトに頼ると考える力が鈍るという意見がやはり多数でした。

これは完全に棋士側の議題ですので、私たちファンがあれこれ意見することではないのかもしれません。

 

一方で(2)は、棋士のプライドの問題であり、

そして僭越ではありますが将棋界をビジネスとして成り立たせている私たちファン(とスポンサー)の問題でもあります。

最強ではなくなってしまった棋士に対して、ファンやスポンサーは幻滅して離れていってしまうのでしょうか。

 

私は、棋士がコンピュータソフトに全く敵わなくなったとしても、

将棋に対する興味は全く薄れませんし、棋士に対する尊敬と憧れの感情は全く揺らぎません。

「車が発明されたことで、人間が走るよりずっと速く移動できる手段を獲得してもなお、

例えば陸上競技は人々の興味を集めている」といった例えがされていましたが、その通りだと思います。

 

コンピュータソフト同士が対局しているサイトがあるそうですが、

正直、どんなにハイレベルな対局だったとしても、全く興味は湧きません。

(余談ですが、車のレースにも全く興味が湧きません。)

対局する棋士の個性があってこその興味。

最終盤に顔を真っ赤にして秒読みに晒されながら、

時には鮮やかな寄せを決め、時には決定的な敗着を指してしまって逆転負けを喰らってしまう。

私は、そういう人間くさい勝負でこれからも私たちファンを魅了して欲しいです。

 

話は変わりますが、私は棋士とコンピュータソフトとの対戦は続けて欲しいと思っています。

例え、圧倒されて黒星が続く展開だとしても、

誰かが何とか一矢報いられないか、という対局にも見所があります。

勝敗だけではなく、棋譜の中の一手というレベルでも人間の意地の一矢を見られることを期待したいです。

ちなみに、対局する棋士の大きな負担になる事前のコンピュータソフト対策は不要です。

棋士にはプログラムの不具合を見つけ出して欲しいのでなく、

真っ向からぶつかってどのような棋譜を残せるか、という真剣勝負を見せて欲しいのです。

 

感想の最後に。

今後の将棋界に関わる問題として、多くの棋士がメインスポンサーである新聞社の今後を憂えていました。

一方、巨額の税金をよっぽど払いたくて仕方がないのでしょうか。

契約更改で(私には不相応に思える)年俸を要求するプロ野球選手。

年俸の金額ではなく、プレーやファンサービスで子供やファンを魅了するのが本筋だとは考えないのでしょうか。

そもそも年俸の金額には嘆息こそすれ、魅了はされません。

ジャイアンツやドラゴンズの選手の中に、

親会社である新聞社の今後について、少しでも考えている人はいるのでしょうか。